第1章

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*** 「ゆり先生!」 「あっ、ソウゴくん。こんにちは。」 「こんにちは。」 その日、廊下を慌てて走っていると、ゆり先生がいた。 ゆり先生は笑顔とちょっとの早口で、こんにちはと僕にいう。 「ん、ソウゴくん。どうしたの? そんなに走って。」 僕が走っているのが可笑しかったのか、笑ってそう言うゆり先生に僕も可笑しくなる。 でも、いや、どうだろう。 ゆり先生はいつも笑っているから、本当に可笑しくて笑ったのかは分からない。 「コウジがいなくなった! ゆり先生しらない?」 「ーーーーーえ?」 突然、ゆり先生の動きが止まった。にぃと上がっていた口の端がだんだんとおちていく。 一直線になったそれは、震えているようにみえる。
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