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それは、暑い夏の日だった。 僕は夏にしか行われないプールを終えて、一人で帰った時のこと。 友達はみんな、お父さんやお母さんの実家に帰っちゃって。 プールにはあまり参加してなかったんだ。 校門を出ると麦わら帽子で顔が半分くらい隠している女の人が、何かを配ってた。 僕にもくれて、こういった。 疲れたでしょう、帰りながら飲んでね。 そんなことを、言っていたんだ。 初めは真っ赤な色をした紙パックのジュースだったから、飲むのがイヤだったけど。 プールで喉が渇いたからか、仕方なく僕はストローを加えた。 でも、女の人が見えなくなって。 その紙パックを道に、投げ捨てた。 だって、あのコンクリートから流れてくる血と。 同じ匂いがしたから。
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