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真夏だったからとても暑い日だったことは、よく覚えてる。 小走りに自分の家に向かってた時。 僕の家の隣にある、正方形のカタチをしたコンクリートボックスから、灰色の作業着姿の人が、中から出てきたんだ。 手には工具箱とか、肩にはホースとか、そういうモノをもっていたから、きっと、工事なのかなとか僕は思った。 でも。 ホースから、赤い何かが、ポタリ、ポタリと垂れていたんだ。 やっぱり血は流れていたんだ、と思って。 うちの方には修理、来ないのかなとか思ったんだけど。 作業着の人は、うちの方には立ち寄らなかった。 ポタリ、ポタリと液体の垂れる音が、僕の耳に残ったまま、僕は自分の家に入る。 コンクリートボックスは、暑い日には締め切ってしまうから、とても暑いのだけれど。 その日は何故か、ヒンヤリとしていて。 僕はいつものように、鍵を開けて入ると。 テーブルの上にメモが一枚と、ペットボトルが置いてあった。
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