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仲倉がジーンズのポケットに手を入れたまま戻ってきた。
翻訳に夢中になっていたせいで、
店員がきたことすら気づけないでいたらしい。
理哉は先にテーブルに並んだ刺身を小皿にとって、
何事もなかったように口にする。
「悪い、
少しもらった」
「いつも勝手に取るくせに? 俺にもしょうゆ」
腕を伸ばした先に揺れる仲倉のタグを思わずつかんだ。
さっき心臓が飛び出すほど驚いたことを教えてやりたい。
「そういやさ。
仲倉のにはついてないな。
この模様」
つるっと指先から落ちるしょうゆがガタガタとテーブルの上を転がった。
「セーフ。
すごいな、
こぼれないようになってるのか」
感心するふりでしょうゆ挿しを拾うと、
仲倉の小皿に取り分ける。
ちらと見上げると一気に色をなくしたような仲倉の顔が見えた。
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