恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

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(俺はからかわれただけか) しばらくして腰にバスタオルを巻いただけの仲倉が部屋へと入ってきた。 酒が入っているせいもあって、 どうにも目に毒だった。 「お前の着替えもあるから、 浴びてこいよ」 一日動いて汗をかいているし、 その提案はうれしいができれば早く服を着てほしい。 褐色の逞しく盛り上がった筋肉についた小さな飾りに目を奪われてしまう。 バスタオルで隠されたその下にも視線がいって自分を叱咤するほどだ。 「悪いな。 眠いなら先に横になってていいぞ」 エアコンの温度をさげる仲倉をもう一度見て、 するりと脇を通りすぎる。 見えていないことをいいことに、 振り返って背中から再び視線で舐めた。 美味そうと考える思考にため息をついてバスルームへと向かった。
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