恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

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年齢は同じ二十五歳、 理哉はすらりとした長身だが、 仲倉はガテン系の体格で冬でもタンクトップの印象がある。 日に焼けた小麦色の肌は厚みがあって理哉の倍はありそうだ。 シックスパックに割れた筋肉と張りのある太腿は服の下からでも主張している。 かといって熊のようでもなく、 笑って見える歯は白く頬もシャープに整っていて窪んだ目元がアウトドアのインストラクターを彷彿とさせる。 男なら羨む体つきのくせに仕事のせいだとおごらない。 いっぽうの理哉は室内勤務で日に焼ける機会は搬入のときくらいだ。 身長が多少あるだけで、 若いゆえの体型としか褒め言葉がない。 すっきりとした二枚目といわれるが、 理哉は大きめの眼が嫌いだった。 できれば仲倉のようながっしりとした男らしい体型にあこがれている。
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