62人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「おい、どうした?」
「…すみませんっ…へいき、へいきですっ…」
結局物音に気付いただいきくんが部屋に来た。身体に力が入らなくて顔も見れない。
「大丈夫か?吐きそう?」
床に手をついて丸まったまま、小刻みに首を横に振った。お願いだ、早く効いてくれ。そんな時に再び鳴り響くだいきくんの嗚咽。
「…はぁっ…はぁっ…」
ぎゅっと片手で耳を塞ぐ。
「…大丈夫、大丈夫だ。」
そう、身体が包み込まれた。
「…ゆうと…大丈夫…」
だいきくんの手が、俺の後頭部を優しく撫でる。
「大丈夫。ゆうりは生きてるよ」
頭を撫でていた手が離れ、耳を塞いでいた俺の手を掴んで下ろした。
「…こわいです…いやなことしか、かんがえられない…」
「ゆうりは強いから。それは俺より、ゆうとの方が知ってるだろ?」
「…」
「…大丈夫だ。ゆうりならきっと…」
だいきくんは、自分自身にそう言いかけているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!