第1章

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 俺は旅行先で「ぐにゃぐにゃ」と名乗る温泉に出会った。 「何をいっているんだ、お前は「ぐにゃぐにゃ」じゃない。名乗るならば「ぱしゃぱしゃ」とか、水を表すものにしろ」  俺がそう言うと、「ぐにゃぐにゃ」も勢いよく返してきた。 「入ればわかりますよ。僕は「ぐにゃぐにゃ」です」  そう言われたら入ってやるしかない。俺は恐る恐る「ぐにゃぐにゃ」の中に入ってみた。 「どうです、「ぐにゃぐにゃ」してきたでしょう」 「こりゃ「ぐにゃぐにゃ」だ。肩のコリがとれてきたわ」  「ぐにゃぐにゃ」はどこか嬉しそうに波打った。それで俺は今更ながらぎょっとして、上がろうと足を上げた。 「まあまあ待ってくださいよ。腰もこっているじゃありませんか」  「ぐにゃぐにゃ」は今まで受けたどのマッサージよりも上手に俺の腰をほぐして見せた。  このままじゃ自分が「ぐにゃぐにゃ」になってしまいそうでちょっと怖いな、それにのぼせてしまいそうだ。もう上がろう。なんだか頭も「ぐにゃぐにゃ」してきた。気持ちよかったがもう勘弁だな。まっすぐ歩けないぞ。腰が「ぐにゃぐにゃ」になるとこうなるんだな。倒れた。意識がとおのいていく。
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