第5話

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それから、王家は銀の守姫の存在を徹底して秘匿した。 もとよりセラフィールド国民にとって害をなすシールドではない。 国境のシールドを感知できるのも帝くらいだから、人々の記憶から銀の守姫の存在が風化するのも、そう時間はかからなかった。 その状態が続いて数百年。 他国や魔族も、シールドの存在自体は認識しているものの、誰が何処からシールドを張っているのかは分からなくなっているはずだ。 「・・・それが、数ヶ月前から異変が起きているの。」 ヒメが国境に張っているシールドは、接触する者を感知し、国境を通してよいか振り分ける機能を持っている。 それで感知される魔獣の数が、段違いに増えているのだ。 シールドに弾かれて国内には入って来られないため、国民はまだ気づいていない。 「私は、その理由を調べて、そして・・・」 もう限界だったのだろう、言葉の途中でヒメは寝てしまった。 ククルはヒメをヒョイと抱き上げ、ベッドへ寝かせる。 頭のウィッグをはずすと、そこから見事な銀が現れた。 「おやすみ、姫。」 本来ならば、魔獣増加の原因を調べるのは帝やギルドの仕事であって、ヒメの仕事ではない。 が、きっと彼女は誰かに頼るという発想がないのだろう。 「まあ、僕を喚んでくれただけでヨシとするか。」 ククルはフッと宙に消えた。
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