第6話

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――――――――――――――――――――――――――― 「『壁』に変化はありません。」 「そう・・・。」 ほぅ、と息をつく侍女。 銀の守姫が国境に張るシールドは通称『壁』と言われる。 常に張られるそれに変化がないのだから、姫の生命は無事ということだ。 そこへ、パタパタパタ、と走る音が聞こえてきた。 コンコン、バタンッ 「も、申し上げます! 陛下がっ 姫さまにお、お会いになりたいとっ」 入室を許す言葉も待たず、メイドが息も絶え絶えに侍女へ報告する。 国王と姫との定例面会まで、まだ日はあったはずである。 まさか、姫の不在に気付かれたか!?と緊張が走る。 「・・・分かりました。私が出ましょう。」 侍女が進み出る。 「メイドAはちゃんと姫さまの部屋にいるでしょうね?」 「はい、昨日から一歩も出ていません。」 「そのまま動かないよう伝えてちょうだい。」 そう言うと、侍女は国王の待つ神殿のホールへ向かった。 ――――――――――――――――――――――――――
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