第6話

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「その後も13年に亘って、南北戦争が続いた。 が、すべてセラフィールド王国側が退けている。」 正確に言うなら、『壁』を壊そうと送り込まれた兵団を、帝が退けてきた。 何度か『壁』崩壊一歩手前までいく危機があったものの、なんとかしのぎ、アヒジャードの侵入を防ぎきった。 「先生、セラフィールド王国の方が強いんなら、いっそのこと、こっちから攻めれば良いんじゃないですか?」 はーい、と手を挙げて質問が出る。 「はっきり言って、旨味が足りない。 アヒジャードは北にあるからセラフィールドに比べて土地が痩せている。 教国民もアヒジャードを信じない者には絶対従わないし、異教徒は排除か改宗かの2択を迫るお国柄だからな。」 更に言うなら、『壁』の拡張は銀の守姫にかかる負荷を増すことになるから、国土の拡大は得策ではないのである。 「第三次南北戦争後、小競り合いはありつつも、大きな戦闘には至っていない。 先王の代からは国交を回復し、王国の許可を受ければ輸出入も可能になった。」 まあ、セラフィールドからの輸出が主だがな。
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