第5話

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――――――――――――――――――――――――――――― 「姫さま・・・」 侍女は物憂げにため息をつく。 杳(よう)として姫の行方は分からないまま。 時間が経てば経つほど姫の可動域も広がるわけで、神殿の衛兵だけでの探索は困難だ。 とはいえ、姫の不在を知られてはならないから、ギルドに捜査依頼を出すわけにもいかない。 「とりあえず、姫さまは熱を出して臥(ふ)せっていることにします。」 メイド達へ告げる侍女。 「どこに耳目があるか分かりませんからね、メイドA!」 「はい。」 進み出るメイドA。 「貴女が姫さまの代わりとなりなさい。」 常にベッドの中にいること。いいわね? 「それから衛兵は、捜索を続けてちょうだい。」 今できることはこれくらいだ。 「こんなことになるのだったら、姫さまに通信板くらい持たせておくのだったわ。」 必要ないからと、姫に無属性魔法や攻撃魔法の類(たぐ)いは一切教えていない。 「そんな状況で、大丈夫なのかしら・・・。」 ――――――――――――――――――――――――――――
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