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「姫さま・・・」
侍女は物憂げにため息をつく。
杳(よう)として姫の行方は分からないまま。
時間が経てば経つほど姫の可動域も広がるわけで、神殿の衛兵だけでの探索は困難だ。
とはいえ、姫の不在を知られてはならないから、ギルドに捜査依頼を出すわけにもいかない。
「とりあえず、姫さまは熱を出して臥(ふ)せっていることにします。」
メイド達へ告げる侍女。
「どこに耳目があるか分かりませんからね、メイドA!」
「はい。」
進み出るメイドA。
「貴女が姫さまの代わりとなりなさい。」
常にベッドの中にいること。いいわね?
「それから衛兵は、捜索を続けてちょうだい。」
今できることはこれくらいだ。
「こんなことになるのだったら、姫さまに通信板くらい持たせておくのだったわ。」
必要ないからと、姫に無属性魔法や攻撃魔法の類(たぐ)いは一切教えていない。
「そんな状況で、大丈夫なのかしら・・・。」
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