第5話

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「ヒメ・イレイス!?」 呼びかけても反応がない。 胸元にあるヒメの顔色は、少々青白く見える。 目を閉じて微動だにしないヒメは、まるで美しい蝋人形のようだ。 「おいっ」 「・・・先生。」 シリウスの横にまわったキキが、ヒメを見ながら口を開く。 「寝てる。」 「・・・は?」 フリーズするシリウス。 それからよくよくヒメを見ると、胸が上下していて、小さいながらも呼吸音が確認できた。 「・・・はぁぁ・・・ 。」 長いため息が漏れる。 「立ったまま寝るって、どうなってるんだコイツは。」 「そこは姫だからね、仕方ないのさ。」 どこからか声が聞こえたと思うと、ドロンとヒメの使い魔が宙に現れた。 「お前、召喚なしに出てきてないか?」 目をすがめるシリウス。 普通、使い魔は主人の召喚(名前を呼ぶことが多い)に応じて出てくるものだ。 「ククルに不可能はあんまりない!」 えっへん。 それから床に足をつけると、「よいしょ」の一言でヒメをお姫さま抱っこした。 (こんな小さな身体のどこにそんな力が・・・。) 精霊や天使は魔法量に優れる割に、体力がない者が多い。
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