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「ヒメ・イレイス!?」
呼びかけても反応がない。
胸元にあるヒメの顔色は、少々青白く見える。
目を閉じて微動だにしないヒメは、まるで美しい蝋人形のようだ。
「おいっ」
「・・・先生。」
シリウスの横にまわったキキが、ヒメを見ながら口を開く。
「寝てる。」
「・・・は?」
フリーズするシリウス。
それからよくよくヒメを見ると、胸が上下していて、小さいながらも呼吸音が確認できた。
「・・・はぁぁ・・・ 。」
長いため息が漏れる。
「立ったまま寝るって、どうなってるんだコイツは。」
「そこは姫だからね、仕方ないのさ。」
どこからか声が聞こえたと思うと、ドロンとヒメの使い魔が宙に現れた。
「お前、召喚なしに出てきてないか?」
目をすがめるシリウス。
普通、使い魔は主人の召喚(名前を呼ぶことが多い)に応じて出てくるものだ。
「ククルに不可能はあんまりない!」
えっへん。
それから床に足をつけると、「よいしょ」の一言でヒメをお姫さま抱っこした。
(こんな小さな身体のどこにそんな力が・・・。)
精霊や天使は魔法量に優れる割に、体力がない者が多い。
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