第5話

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自然と、マール対ヒメ、モブリ対キキの構図になった。 まず先陣を切ったのは、マールだった。 「『アース・アバランチ』!」 マールの詠唱により、地面がヒメへ向かってズドドドッと隆起する。 防御魔法で宙に浮くヒメ。 「ちっ、『ストーン・レイン』!」 次は石の礫(つぶて)が地面から宙に向かって雨あられと降りかかる。 そのすべてをシールドで防ぐ。 今のところ、ヒメには何のダメージもない。 だが、ヒメの顔はみるみる蒼白になっていた。 (ど、どうしよう。どうしよう・・・っ) キキの予想通り、そもそもヒメには戦闘の経験がなかった。 どころか、誰かを傷つけたり、傷つけられたりすることもなく、これまでの人生を歩んできた。 そんなヒメにとって、初めて受ける「自身に向けられる害意」はショックが大きいもので。 心も身体も強ばって、身動きがとれない。 (どうしよう・・・っ。頭が働かない。 何か、考えないといけないのに・・・っ) シールドならば無意識でも張ることができる。 これにより傷付くことはないだろうが、このままでは膠着状態だ。 「ちっ、埒(らち)があかないな、おい、マスティマ。」 使い魔を呼ぶマール。 応えがない。 「マスティマ?」 周囲に視線を向けると、蔦に絡めとられる使い魔の姿があった。 しかも大量に魔力を使い果たしたらしく、ぐったりとし、目を閉じている。 その横には、同じように蔦に絡めとられたキキがいた。 なんとか抜け出そうとしているが、鋼鉄のように頑強な蔦を前に苦戦しているようだ。 更には気絶して倒れているモブリ。 その奥で、戦闘しているククルと黒い精霊の姿が見えた。
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