2227人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「勝者、ヒメ・イレイス、キキ・ミッドガルド!」
シリウスの勝者宣告に、決闘場内がワァッと盛り上がる。
「姫、おめでとう!」
満面の笑みでヒメに駆け寄るククル。
その後ろから、ククルを睨(ね)めつけながら歩いて来るキキ。
勝利した瞬間に、ククルが植物属性魔法を解除したようだ。
「・・・さて。」
シリウスはマールとモブリに治癒魔法をかけた。
マールは「ガハッ」と口から水を噴き出すと、盛大に咳をしている。
モブリも「ハッ」と声をあげると、飛び起きた。
「では、敗者の意識が戻ったところで、勝者からの要求を聞こう。」
決闘の勝者は、生命に関わること以外であれば、敗者に何でも要求できる。
「何でも良いぞ、国外追放でも、家財没収でも、爵位剥奪でも。」
シリウスの言葉に震え上がるマール。
自分が負けることなど想定していなかったのだ。
「・・・容赦ない。」
学生の要求としては大き過ぎるのではないか、という意を含ませてキキが言うと、
「ふん。
俺の生徒に手を出したんだから、それぐらい当然だろ。」
との返し。
シリウスなりに、マールの言動には頭にきていたらしい。
最初のコメントを投稿しよう!