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「勝者からの要求を。」
シリウスから再度、要求を求められる。
「ええと、他人のことをもっと思いやってもらえると嬉しいのですが。」
困ったように言うヒメ。
「今後一切、私たちに関わらないこと。」
バッサリ切り捨てるキキ。
「敗者はこの要求をのむように。」
「これにより、決闘を終了する。」
またもワァッと盛り上がる観衆。
使い魔が異様に強かったり(結局、あの使い魔は何属性なんだ?てか、味方を攻撃してなかったか?)、ヒメが何をしたのかよく分からなかったり(宙に浮いていたのは何の魔法だったんだろう。あの水球もどうやって作りだしたのかよく分からん。)もしたが、見物(みもの)としては及第点だったようだ。
ヒメがふぅ、とため息をついていると、ククルが面前にやって来た。
「姫、初めての戦いはどうだった?」
ククルのオレンジの眼が、ヒメの目を真っ直ぐ射抜く。
初めて、他人から害意を向けられた。
初めて、他人を傷つけた。
ヒメの瞳がフルッと震える。
「・・・怖かった。」
やがて瞳から湧き出た涙が、静かに頬を伝う。
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