第5話

30/37

2227人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
「うん。」 ククルはつま先立ちして、ヒメの頬に触れる。 「でも、これは必要なことだわ。」 これからヒメの為すべきことを考えれば、戦闘の経験は必要なことだった。 「うん、そうだよ。」 よく分かってるじゃないか、さすが僕の主だ。 ククルはニッコリ笑うと、ヒメの涙をぬぐう。 端で聞いているシリウスとキキには、2人の会話の意味は分からない。 だが、ヒメが何かを心に秘めていることは伝わっていた。 「だとしてもだ、人の主従関係に口を出すわけではないが、主はちゃんと護ってやれ。」 シリウスがククルに釘を刺す。 「何言ってるのさ、姫の力を信頼してこその主従関係じゃないか。」 は~やれやれ。 ピキ、とシリウスの額にある血管が盛り上がった。 俺の生徒を危険に晒すなコノヤロウ、と銀の瞳が険しさを増す。 「それに姫を護るのは王子って相場が決まってるんだよ。 僕は王子って柄じゃないから、その役はシリウスに任せるよ。」 じゃ、ヨロシク! 言いたいだけ言うと、ククルは勝手に消えてしまった。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2227人が本棚に入れています
本棚に追加