第5話

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「・・・とりあえず、ここを出るぞ。」 シリウスは、ヒメとキキを出入口に促した。 「あ、ヒメちゃーん!」 決闘場を出ると、ミーアとタクトがヒメを待っていた。 キキはというと、誰ともなく「じゃ。」とだけ言って立ち去ってしまった。 「お前たち丁度良い、寮に案内してやれ。」 シリウスがミーアたちにヒメの案内を頼む。 それから、 「ちゃんと食べてから寝ろよ。」 ヒメの頭にポン、と手を置くと、教員棟の方角へ去って行った。 「あれ、ヒメちゃん、昨日は寮じゃなかったの?」 ミーアの問いかけに「うん。」とだけ返す。 幸いというべきか、宿屋に泊まったのかな、等と勝手に解釈してくれたらしく、突っ込んで訊かれることはなかった。 初めて見る学園寮は、町の宿屋とは比べ物にならない程立派な石造りの建物だった。 過半数の生徒が利用するだけあり、建物の規模も教室棟と同じくらいある。 「ヒメちゃん、引っ越しのお手伝いするから、部屋にあがっても良い?」 期待に満ちた目のミーア。 自宅から通っているミーアは、寮の中がどうなっているのか興味があるらしい。 これからギルドに行くというタクトと別れ、2人で寮へと入った。
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