第1章

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都内某所にある家賃三万以下の風呂トイレ付ワンルーム。 築数十年になるこの物件は、御世辞にも小綺麗とは言えないけれど、私のような独り身には十分な広さだ。 私は仕事の関係上、帰りが0時を過ぎることも多く自炊する気力も腕もないので、食事は大抵外で済ませてしまう。その為、ここには寝る目的でしか帰って来ない。 しかし今日は珍しく10時前に帰宅できたので、引っ越してから見る機会が減ったテレビを暫く鑑賞する…が、テレビに釘付けだった時分に観ていたものは何もなく、どれも知らない番組ばかりでつまらない。 「…あー」 --何時の間にか眠ってしまった。 よくわからない企画の深夜番組を消すと、私は寝間着に着替えようとしたところで止めた。風呂に向かう。 自分でいうのも何だが、私は面倒くさがりでその日の汚れを清めることなく朝シャンで済ませてしまうことが多々ある。 しかし今は夏場、汗で張り付いたシャツから剥がした腕を、そのまま寝間着の袖に通す気にはなれなかった。
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