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「あ、江茉さん。ここ。このお店なんですけど」
呼ばれた声に気がつき、飯山さんが指さしている携帯の画面を覗き込んだ。
「ここから近いんですよ。前に、佐藤くんが行ってすごく良かったって話してて」
見ると、食べ放題らしいが、ちょっとした高級感がウリのお店らしい。
「飯山さん。とめどなく食べそうですね」
「食べますよ!えっとね、確かそこの信号を」
大皿に綺麗に並べられた料理を私に見せながら、パッと顔を上げ、右前方を指さそうとする飯山さんの手が視界に入った。
「……」
中途半端に上げられた手と、続けられる筈の言葉がないことに気がつき、彼女の方に顔を向けた。
彼女の顔に表情はない。
「飯山さん?」
「江茉さん」
2人がお互いの名前を呼んだのはほぼ同時。
「……あれ」
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