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小さな頃から水が怖かった。
とはいっても、水に顔をつけられないといった程度で、当然プールや海には入ることができなかったけれど、生活に支障が出る程のことではなかった。
そんなわたしに転機が訪れたのは、大学二年の夏休みのことだった。
友達に誘われて入ったテニスサークルの合宿で訪れた湘南の海辺で「それ」は起きた。
もともと気乗りがしなかったのだ。
テニスサークルの合宿なのに場所が海辺ということも納得できなかったし、わたしにとって海や川、湖は眺めているだけで少し息が詰まるような、決して気分の良い場所ではなかった。
それが顔に出てしまっていたのが良くなかったのだろう。
わたしがあまりにもつまらなそうな顔をしていたから。
悪気はなかったのだと信じたい。
まさかこんなことになるなんて思いもしなかっただろうから。
今でも恨んでなんかいない。
面白半分で、わたしを海へ投げ入れたあの子たちを。
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