第三章 本当と偽り

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「スメラギプロダクション関係の子だよね?」 栞里は突如現れた小太りのおじさんから飛び退くように距離をとる。 「あ、はい」 鳴海さんに言われてここにいるため関係者であることに間違いはない。 だがその間違いはないが明確な返答ではなかったことが誤解を生む。 「君、名前は?」 「え?  姫神栞里です」 「ふむ、悪くないな」 おじさんは栞里の全身を嘗め回すように視線を動かしていく。 「あ、あの・・・なにか?」 初対面の相手であるにもかかわらずじろじろと見てくるおじさん。 それがあまりにも気味が悪すぎて今にも逃げ出したい気持ちに駆られる。 しかし失礼にならないように、という優等生気質がつい出てしまう。 「いや、君なら力を入れて売り出せる  だから撮影が終わった後はよろしく頼むよ」 おじさんは栞里に迫ると目立たないように栞里の腰回りへと手を伸ばす。 「・・・っ!」 その瞬間、栞里の体はスイッチが切り替わったかのように素早く反応する。 理性の全てをシャットアウトして本能が勝手に動く。 目の前の敵から身を守るために最も効率の良い行動を本能が瞬時に判断する。
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