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到着が少し遅れていた誠治はやや急ぎ足で現場へと向かっていた。
現場はどこかと探すまでもなく、人だかりができているところが現場だ。
いつもテレビカメラが回っているところは基本的に人が集まる。
誠治はその光景が子役の時から変わっていないと回想する。
人だかりを見つけて近づき、スタッフ席となる場所はどこかと探す。
「あ、姫神」
スタッフ席に何故か当たり前のようにいる栞里を見つけた。
当たり前のようにいるだけでなく違和感がまるでない。
いつ撮影が始まっても出ていける、そんな雰囲気しか感じられない。
「オーラが完全に芸能人なんだよな」
学校でも完全に存在感が頭一つ飛びぬけている。
そしてそれに成績と能力が一切見劣りしていない。
「限りなく一般人から遠い一般人だな」
野次馬に混ざってみて初めて分かる。
「・・・ん?
あいつは・・・」
スタッフ席にいた栞里に近づく小太りのスーツのおじさん。
その顔に誠治は見覚えがあった。
「まずい・・・」
誠治は急いでスタッフ席に行こうとする。
しかし、その足は栞里のとった行動に驚いて硬直してしまう。
その光景は周囲の人だかりも騒然と、そして静まり返らせる。
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