第二章 期待と重圧

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「姫神さん!  バスケ部に入らない?」 「姫神さんは陸上部だよね!」 「バレー部で全国目指さそうよ!」 「ラクロスが絶対一番楽しいって!」 詰めかけた人だかりが次々に栞里をクラブへ勧誘しようと声を上げている。 その声は女子だけにとどまらない。 「甲子園を目指す野球部のマネージャーになってくれ!」 「サッカー部は男女両方チームがあるから楽しいぜ!」 「演劇部は君みたいな逸材を待っていたんだ!」 「水泳部はいつだって歓迎しているからな!」 男女関係なくすべてのクラブが栞里を勧誘しようと詰めかけていた。 「あ、いや、えぇ・・・」 想像していなかった壮絶な勧誘合戦の矛先が向けられている。 いきなりのことでどう対応すればいいのかわからない。 しばらく騒がしい状態が続く。 するとその事態収拾に教師たちが一年一組へとやってきた。 「せ、先生・・・あっ!」 助けを求めようとやってきた先生の方を向く。 すると担任の先生の無言の笑顔が栞里に向けられていた。 その無言の笑顔は「当然テニス部だよな」と問われているかのようだった。 「に・・・逃げ場がない・・・」 一難去ってまた一難とはよく言う。 しかし一難が去りきる前に次の一難がやってきたのだった。
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