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「それとお母さん
本当に私一人暮らしになるの?」
「そうよ
前田のおじさんが宝くじに当たってマンションを買ったのよ
でも買ってすぐに転勤でそのマンションに住めなくなったの
それで放置ももったいないから管理がてら住んでくれないかってね」
「ふーん、まぁ通学で二時間近くかかるところだからいいか」
地元から離れた高校に通うことにした栞里。
朝の時間が有意義に使えるのはラッキー。
それくらいの気分でマンションの管理を請け負うことにした。
学校に近いということ以外、この時点では時に興味がなかった。
「それとマンションの近所に綾乃ちゃんが住んでるのよ」
「綾姉ちゃんが?」
「小さい頃何回も練習台になってくれたお礼だって
高校三年間のヘアメイクは格安で引き受けてあげるって言ってたよ」
「練習台ってほぼ強制だったじゃん」
逃げても逃げても捕まっては髪の毛を何度も切られた苦い過去が思い返される。
「そんな綾乃ちゃんも今じゃ有名人のカットもするようになったんだから」
「そうなんだ
じゃあそれもラッキー」
相変わらずリビングでゴロゴロしながらの栞里だった。
この時、適当に話をしていたことがあんな結果に結びつくとは思わなかった。
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