第二章 期待と重圧

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チャイムが鳴り授業が終わる。 その瞬間、栞里は席を立って一瞬で教室の外へと飛び出す。 教室の外に飛び出した栞里はさっきの休み時間を思い返す。 上級生がどの方向からやってきたのか、どれくらいの時間で到達したのか。 そして校舎の間取りを思い浮かべ、どの方向へ逃げるのが正しいのかを判断。 逃げる方向が定まればあとはひたすら駆け抜けるだけ。 栞里は授業終了から数秒で教室から姿を消した。 「・・・早っ!  そして速っ!」 クラスメイトがあまりの速さに呆然としていると、上級生の大群がやってくる。 「あれ?  姫神さんがいない!」 「どこにいった?」 問われた一年一組のクラスメイトの一人がその物々しい雰囲気に根負けする。 「あ、あっちに行きました・・・」 栞里が逃げた方向を上級生が知った瞬間、間髪入れずに後を追いかけ始める。 「追いかけろ!」 貴重な休み時間であろうと関係ない。 上級生と栞里の全力を賭した追いかけっこが繰り広げられるのだった。
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