第二章 期待と重圧

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「これどうやって作ったんだ?」 「砂糖醤油を少し入れてみたの」 「へぇ・・・  俺んところは普通に卵だけだ  味が足りなきゃソースなり醤油なり勝手にかける」 先に味付けをしておく栞里とは違い、誠治は後で食べたい味にするようだ。 「しかも姫神の卵焼き綺麗だよな」 「ありがとう  でもこれくらいならちょっと練習したらみんなできると思うよ」 「いや、母さんは未だに卵焼きは上手に作れないな  十回に七回はスクランブルエッグで出てくる」 「ふふっ、スクランブルエッグになるんだ  テレビだとすごい何でもできそうなイメージだったけどね  ちゃんと苦手なこともあったんだ」 「そうそうお前みたいなに完璧な奴はいないって」 「わ、私は完璧なんかじゃないよ」 「お前を見ていて誰も欠点が見つけられないんだ  スーパーガールとか呼ばれてるの知ってるか?」 「き、聞いたことはあるけど・・・  みんな大げさなんだよ」 「謙遜するねぇ」 「みんなが買いかぶりすぎなの」 昼食を食べながらも二人の会話が途切れることはない。 入学してまだ二週目に入ったばかりだ。 なのに栞里は誠治と想像以上に仲良くなっていた。
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