第二章 期待と重圧

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ホームルームが終わって教室を出る栞里。 その時にはもう数人の先輩方が来ていて一瞬で取り囲まれる。 さらに某RPGのごとく仲間が湧いて出てくる。 そして一団となった先輩方は一斉に栞里をクラブへと勧誘する。 「あ、あのっ!  すみません」 周囲を取り囲まれて勧誘しようと言葉が飛び交う。 その言葉を制して栞里が先輩方に自分の意見を言う。 「得手不得手もありますし競技自体をあまり知らないものもあります  ですからいろいろなクラブを見て回ってから決めてもいいでしょうか?」 要は体験入部などの期間を設けて、試験的にいろいろなクラブを経験する。 そしてどのクラブに所属するかを決断するための材料を得る。 その時間がほしいとの申し出だった。 自分たちのクラブの名をあげてほしかったのか一瞬はざわめく。 しかしそれはすべてのクラブに平等にチャンスが訪れたということでもある。 メジャーかマイナーか、人数が多いか少ないか、そんなことは関係ない。 姫神栞里という人物に一番気に入られたクラブが選ばれる。 ならばプレゼンなり説明なりを完ぺきにこなしてアピールしなければならない。 先輩方は一瞬はほかのクラブの面々と顔を合わせる。 しかし次の瞬間、我先にと自分たちのクラブへと向かっていく。 アピールの下準備をする必要があるからだ。 「・・・ふぅ」 とりあえずこの場は丸く収めることができたことで一段落。 しかしどのクラブに所属するか決める。 それはやらなければならないことには変わりはない。 一段落とはなったが、結果的に決断の時が少し遅れただけだった。
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