第二章 期待と重圧

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◆ソフトボール部 バッターボックスに立った栞里を打ち取るべく剛速球が投げられる。 目で見るのがやっとのボールを二度見逃した栞里。 もう後がないと一息ついて思い切りバットを振るう。 ボールなど一切見ていない。 ただ何となく適当に目を瞑ってバットを振ったようなもの。 しかしそれがなぜか快音を響かせた。 「初打席でホームラン打たれた・・・」 「たった2球見ただけでここまで打てちゃうものなの?」 守備に就いていた先輩は頭上を越えていくボールを呆然と見ていた。 ◆茶華道部 畳が敷かれた和室に座って生け花にいそしむ栞里。 しかし生け花の知識など全くない。 わけもわからずとにかく大きなものを適当な配色で作ろうと手を動かす。 特に考えることもなく花を活けていく。 すると左右で大きさが違ったりずれがあったりする。 適当にやったからこんなものかと一度休息で手を止めた。 すると栞里の作品を見た先生が固まっていた。 「左右のアンバランスさを際立たせる美意識に主役を生かす配色・・・  大胆に大きな作品を作る中で繊細なアシンメトリー・・・  文句のつけようがない完璧な出来だわ  それにここで余計な手を加えず終わらせるのも天才的な才能ね」 ただ休息をとるために作業を止めた。 しかしそれがなぜか作品を完結したために手が止まったと思われてしまった。 更に適当に置いたものが高評価を受けるという意外な結果に落ち着いてしまう。
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