第二章 期待と重圧

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「つ・・・疲れる・・・」 通常授業の合間の休み時間。 栞里は机に臥せって深くため息をつく。 「よくやるよね  しかも行くクラブすべてで高評価だって?  もう人間やめてるレベルだね」 「やめてないよ」 疲れ切った栞里を茶化す麻美。 その麻美にももう真っ向から言葉を返す余裕が栞里にはない。 朝起きるとまずみんなのイメージの姫神栞里になるための用意がある。 準備が済めば遅刻することなく学校に来て真面目にすべての授業を受ける。 放課後は時間の許す限り存在するクラブに体験入部する。 家に帰ってくるなり夕食の準備と今日の授業の復習。 風呂から上がって寝るまでの間はラブレターの返事を書けるだけ書く。 そして倒れるように眠りにつき、また早朝から・・・の繰り返しだった。 「今日は体験入部しないで帰ったら?」 「体験入部期間に全部回るには一日三つは掛け持ちしないとだめなの・・・」 「無茶しすぎじゃないの?」 「まぁでももう半分は終わったからね  折り返しを過ぎたと思うとちょっと気分は楽かな」 そこでチャイムが鳴ってまた授業が始まる。 真面目に授業を受ける栞里を麻美は授業中に何度かチラッと眼を向ける。 (・・・顔色はそう言ってない気がするけどなぁ) 栞里からは明らかに疲労の色がにじみ出ていた。
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