第二章 期待と重圧

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ある日の体育の時間。 体育館でバレーボールの授業が行われていた。 バレー部でも素人とは思えない奇跡を見せつけた栞里はチームの中心だ。 当然のようにトスも多く回ってくる。 ボールに触る頻度も高ければ動く範囲も量もチームで一番多い。 そして普段通り味方からトスが上がり、栞里がスパイクのため踏み込んだ。 その時、飛ぼうと思っていた体は何故か力が抜けてコートに座り込んでしまう。 「ひ、姫神さん?」 「え、ううん・・・  大丈夫・・・  ちょっとくらっと来ただけだから」 笑顔を見せる栞里だった。 しかし入学してからの彼女の様子を見てきたクラスメイトには笑顔が見えない。 疲労で顔色が悪くなっているのは誰がどう見ても一目瞭然だった。 「ちょっとっ!  無理したらだめだって言ったでしょ!」 別チームだった麻美が栞里のもとに駆け付ける。 「ほら、無理しないで保健室に行くよ」 「で、でもまだ授業中・・・」 「そんなのどうでもいいのっ!」 体育の先生も麻美の行動を後押しし、栞里は麻美に連れられて保健室へ向かう。 そして保険の先生と少し話してベッドで横になった瞬間だった。 栞里はまるで電源が切れたテレビのように一瞬で目の前が真っ暗になる。 意識を失うかのように栞里は眠りについた。
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