第二章 期待と重圧

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栞里が目を開いたとき、授業はもうとうに終わっていた。 「あれ・・・  え?  もうこんな時間?」 普段ならとっくに家に帰っている時間まで保健室で眠ってしまっていたのだ。 「あら?  起きた?  よかったわ  このまま起きないんじゃないかってちょっと心配だったの」 保険の先生が笑顔で栞里に近づいて額に手を当てて数秒。 「少し熱があるわね  無理しないで明日は休んだ方がいいわ」 「で、でも・・・」 「これは保険医からの指示よ  いわばドクターストップ  わかった?」 「は、はい」 「よろしい  担任の先生には私から連絡しておくわね」 有無を言わさない。 そんな保険医の様子に栞里は明日の授業を欠席することに決めた。 「もう遅いけど歩いて帰れるかしら?」 「かなり寝たのでそれは大丈夫だと思います」 「そう、じゃあ彼に送ってもらってね」 「・・・彼?」 「外で待っているわよ  起きるまでずっと、ね」 保険医はそういうとなんだか含みのある笑い顔を見せる。 「じゃあ戸締りの準備をしてくるわ  姫神さんは先に帰っていていいわよ」 「あ、はい」 いたずら好きの子供のような表情で保険医は保健室を出て行った。
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