第二章 期待と重圧

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保健室を出るとそこには誠治がいた。 「あ、海崎君」 「よぉ、もう大丈夫か?」 「う、うん  ちょっと熱があるから明日は大事を見て休めって言われたけどなんとかね」 「そうか」 栞里は何とか笑顔を見せようとするが、誠治はその表情を作る間を許さない。 栞里の前髪を手で上げて、あらわになった額に誠治が額をくっつけてくる。 「・・・へ?」 突然のことで状況を読み取れず栞里は混乱していた。 「確かに少し熱があるな  帰りはコンビニで冷たいものや栄養のありそうなものでも買うか」 誠治は額をすでに離している。 しかしいきなりのことで栞里は未だに混乱からくる体の硬直が解けていない。 「どうした?  帰るぞ」 「え?  あ・・・うん」 前を歩く誠治の後を栞里が追いかけて歩く。 誠治は普段より少しゆっくりと、そして歩幅を少し狭くして歩く。 体調が万全でない栞里を気遣っての歩く速さを調節していた。 追いついた栞里はそのおかげか、苦も無く誠治と一緒に下校できた。
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