第二章 期待と重圧

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「あの・・・」 「ん?」 無言の帰り道。 沈黙を守り歩き続けていた時間を栞里が先に打ち破る。 「その・・・  いろいろありがとう」 「は?」 「ほら、待っていてくれたり・・・  その・・・いろいろ、ね?」 率直にうれしいと思ったことを言葉にすることは思いのほか難しかった。 「・・・ああ  まぁ、なんていうか・・・」 栞里のお礼の言葉に対して誠治は少し考えるようなしぐさを見せる。 「なんだか姫神ってさ  昔の俺に似てるなっておもったからな」 「昔の・・・海崎君?」 「ああ・・・  だからいろいろと気になっちまったんだ  姫神を助けているっていうより・・・昔の俺を助けてやりたかったのかもな」 なんだか意味深な内容に栞里はそれ以上聞くことができなかった。 それからしばらくはまた沈黙の帰り道が続く。 帰り道の途中のコンビニでいくつかの食べ物などを買い入れる。 そして二三、雑談があるものの会話はあまり弾まない。 しかししっかりと送り届けてくれたことで栞里は無事に帰宅することができた。
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