第二章 期待と重圧

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自宅に帰ってきて食事と風呂を済ませて一息入れる。 今日倒れてしまったことで保険医に明日は強制的に休むよう言われてしまった。 つまり今から明日一日、予定が大きく変わってしまったのだ。 「・・・休み、か」 たまりにたまったラブレターの処理にはちょうどいいかもしれない。 ほかにもおろそかになりつつあった勉強をするのもいい。 やめるにやめられないみんなの理想の姫神栞里。 そのイメージをキープするためには時間などいくらあってもありすぎない。 「昔の海崎君か・・・」 そして今の栞里と昔の自分が似ていると言っていた誠治。 その言葉は栞里自身が追い込まれていることを自覚すると自然と思い返される。 「き、気になる」 ちょっとした一言だったが聞いてしまった以上無視はできない。 栞里は自宅にあるパソコンで子役時代の海崎誠治を検索する。 「あれ?  海崎誠治じゃ出てこない?」 当人の名前を打ち込んでもヒットする検索結果は明らかに他人の物。 「芸名かな?  それじゃあわからないし・・・  あっ」 栞里は住良木誠治と打ち込んで再び検索をかける。 「あった!」 子役時代の誠治の記事がいくつか検索された。 栞里はしばらくパソコンのディスプレイに釘付けになっていた。
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