第二章 期待と重圧

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翌朝、強制的に休日にされてしまった栞里。 彼女は朝から山のように残っているラブレターの返事を書いていた。 すると昼前にインターホンのチャイムが鳴って来客を告げる。 「はい」 インターホンのモニターには誠治の母の鳴海が映っていた。 「鳴海さん?」 栞里は何事かと玄関の扉を開けた。 「わーっ!  体調は大丈夫?  倒れたって聞いたからもう心配で心配で・・・」 玄関でそう言いながらもずかずかと部屋の中に上がり込んでくる鳴海。 こういう図太さが芸能事務所を経営するのに必要なのだろうか。 そんなことを考えている間にリビングにまで侵入を許してしまった。 「あの・・・  何の用ですか?」 「え?  栞里ちゃんを心配して見に来たの」 「それでなぜ部屋に上がり込んだのでしょうか?」 「お昼に栄養価の高いものを作ってあげようと思ってね」 「私の許可は・・・」 「よーし、がんばるぞ」 鳴海は台所で持ってきた食材を取り出してすでに準備を始めている。 最近、栞里は自分の意見というものがことごとく無視されている気がしていた。
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