第二章 期待と重圧

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料理ができてテーブルの上に並べられる。 「ありがとうございます」 「いえ、お口に合うといいわね」 先ほどまでの重苦しい雰囲気は時間とともに少し和らいだ。 しかしその空気が完全に払しょくされることはない。 それは何も言わなくてもお互いにわかっていた。 「・・・私が悪いのよね」 「・・・え?」 栞里が食事をしていると唐突に鳴海が口を開いた。 「あの子にいろいろ押し付けて背負わせて・・・  親として何も気づいてあげられなくてね」 鳴海の昔語り。 ゆっくりと、しかしはっきりと。 触れられたくない過去なのかもしれないがそこから逃げていない。 確かに歩んだ過ちを受け止めているからこそ、鳴海は言葉を紡げていた。
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