第二章 期待と重圧

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「せっかくの休みに湿っぽい話で悪かったわね」 「いえ、聞いたのはこちらですから  それにいろいろと話が聞けて良かったと思います」 「そう?  まぁ、私も話せて少し気分転換になったかもね」 少し長話になったがこれにて誠治の話は一区切りだ。 すると一息ついた鳴海がまっすぐに栞里を見据える。 「ねぇ、栞里ちゃん  今度映画のオーディションがあるの  受けてみない?」 「え?」 「大丈夫  学業優先で休みも充実させるわよ  やめたいと思ったら無理しないでいいの  同じ過ちは繰り返さないから  でも、その世界に少しでもあなたには触れてほしいの」 鳴海がニコッと微笑む。 「私は隠している本当にあなたにも興味があるの」 「・・・え?」 鳴海のいきなりの言葉に栞里はドキッとしてしまう。 まるで何でも分かっているとでも言いたげな鳴海の表情。 その表情で真正面にいられることで発生する重圧はかなりのものだった。
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