第二章 期待と重圧

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「ふふっ、気にしないでいいわよ  学校で隠している部分があるなんてほとんどの人に当てはまるんだから」 「はい?」 「あなたはその色が少し強いのかな?  でも大体の人に当てはまることを言っただけ  あなたのことを見透かしたわけじゃないわ  私はそんな超人ではないからね」 家の中と家の外では性格が多少違ったりする人もいる。 気の張り方も違えば、周囲への気遣いも変わる。 家の中とは違う人間関係による差も当然見受けられる。 家の中と家の外が完全に同じである人を探す方が実は難しいのだ。 「何事も経験ね  なんとなくあなたはもったいないかな、って思ったの  あなたにはいろいろと非凡なものがありそうだから」 鳴海はそういうと席を立った。 「食べ終わった?  じゃあ後片付けもしていくわ」 「あ、すみません  それとごちそうさまです」 「完食してくれることほど作り手にとってうれしいことはないわ」 鳴海は空になった食器を流しで洗い始める。 栞里はその姿をしばらく呆然と見つめていた。
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