第三章 本当と偽り

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「あんた中学の時の友達に会いに行ってみなさいよ」 「もういいよ  私で遊ばないで」 栞里が見違えるくらい綺麗になった。 それは家の中ではもう笑い話になっている。 「私だってこうなってからいろいろあるんだから」 「いろいろある?  具体的に何があるのよ」 「いろいろだよ  なんだか学校じゃ優等生扱いで堅苦しくて疲れるし・・・」 「あー、あんた昔から周りに嫌われないようにする癖があったからね」 「そんなことあった?」 「自分で意識していなかっただけじゃないの?  あんたは昔から親戚の人達の前でもそんな感じよ」 「そ、そうだったんだ・・・」 「まぁ、うんと小さい時に思い切り怒られたからかもね  今はもう亡くなっているひいおばあちゃんだけど、覚えてる?」 「・・・全然覚えてない」 「まだこんなに小さかったのにお行儀が悪いとかってたくさん怒られたのよ」 三つ子の魂百までともいう。 小さい頃に学んだり心に刻み込まれたりしたものが人格を形成する。 そして大きくなってもその影響をずっと受け続けることになる。 栞里は覚えていなくても小さい頃に原因となるそれを経験していたのだ。
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