第三章 本当と偽り

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一か月ぶりの自宅での休息。 思った以上に気分が楽になったのか朝から調子がいい。 一か月ぶりに母の手作りの朝食を食べ、出かける準備をする。 テレビクルーが来ると言われている場所へは電車で少し。 徒歩圏内でなければ知り合いとであることも少ない。 栞里は軽い気持ちで目的地へと向かった。 「ねぇ、テレビに出るモデルってあの子?」 「違うと思うよ  見たことない子だし」 「でも十分テレビに出られるよね」 「テレビに出ている子はもっときれいなのかしらね?」 目的地に到着するまでに見られることでヒソヒソ話が始まる。 習慣になってしまったのか、普段学校へ行くのと同じように支度をした。 それによりこの場にいるのはみんなの理想を具現化した姫神栞里。 全く彼女のことを知らない第三者にもその様相は注目の的になっていた。 もう慣れっこといえば慣れっこだが、はっきり言って気分はあまりよくない。 褒められていようが貶されていようが、陰口をされることが好きではないのだ。 栞里はなるべく気にしないようにしながらその場をやり過ごす。
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