リサイクル

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洗濯機が壊れた。 この夏場の、汗で湿った服たちを抱えてコインランドリーへ行く。 ……なんて考えただけでゲンナリする。 しかも俺のバイト先は、弁当屋の工場だ。 作業着をまめに洗濯しないといけない。 中身の乏しい財布を握りしめて、俺は駅の近くにあるリサイクルショップへ向かった。 本当は新品が欲しいが、我が家の経済状況がそれを許してはくれない。 親に金を借りる事も考えたが……先々月に借りた金を先日返し終わったばかりだ。 これでまた借金を申し込もうものなら、しこたま文句を言われるに決まっている。 自転車をこぎながら、予想外の出費に頭を痛めていた。 次の給料日まで、まだ日がある。 食費を削るしかないよなー。 リサイクルショップは東館と西館に分かれており、電化製品は西館の方になる。 食器や家財道具、衣服からパソコン・オーディオ製品のジャンクまで、扱っている商品は多岐に亘る。 駐輪場に自転車を停めると、入り口脇に並べられた洗濯機の列を眺める。 二槽式、ドラム式、全自動、古いもの、新しいものと、様々な製品が並ぶ。 「お客様、何かお探しですか?」 ちょうど入り口から顔を出した店員が、俺の様子に気がついて声をかけてきた。 「あ、洗濯機を……」 「型式とかご希望のものはありますか?」 「いや、正直、懐が厳しいので少しでも安いものがいいんですが……」 あまり売上げに貢献できなくて申し訳ない。 俺の事情を察したらしき店員はちょっと考えた後、何かを思い出したように口を開いた。 「良かったら、中の商品もご覧になりませんか? ちょうど先日、新しく入荷した商品なんですけど、お客様の条件に合うと思いますよ」 招かれて店内へ入る。 様々な商品が所狭しと陳列されていた。 もちろんキチンと分類され、ジャンルごとで並べられているに違いないのだが、圧倒的な数量が暴力的に視界に飛び込んでくる。 体が並べられた商品にぶつかったりしないように、注意しながら迷路のような店内を進んでいく。 「こちらなんですが、今日クリーニングが終わったものなんですよ。少し前の型番になりますが、まだまだ現役で仕事すると思いますよ」 そう示されたのはグレーの全自動洗濯機だった。 7キロ槽のそれは、まだまだ新しく値段も張るように見えた。 「あ、いや、俺、あんまりお金ないんで」 慌てて断ろうとする。 「ご安心下さい、こちら大変に良心的なお値段になっておりますので」
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