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だが、生き残るチャンスだ。これを逃せば、助けなど永遠に来ないかもしれない。
もう一度身体が動ける箇所をチェックする。すると、ギリギリだが肩のユニット付近の動力がまだ通電していた。それを思いっきり稼働させる。
ひしゃげる金属音と共に、関節部が僅かに稼働する。
出力20%、どのような体勢になっているかわからないが、身体を揺らし、周囲に音を伝えるのには十分だった。
"……―――っ?"
"――!!"
声が近づいてくる。
「これは、アンドロイド? いや、我が軍のサイボーグか?」
男の声だ。
人工声帯が壊れているため、何も伝える事が出来ない。人工眼球のセンサーもまた動いてはいない。まだ動くのならば光らせることによって、モールス信号くらいは出来たのだが。
代わりにもう一度肩を動かしてみた。
「救護班! 生存者だ! こっちに来てくれ」
そこで俺の意識はまた、闇に埋没していった。
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