回復(リペア)

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「あー、あー、聞こえるかな? もしもーし、これで感覚ユニットの修理は終わってるはずだけど?」  声に反応して、意識を覚醒させた。 「……俺は」  声が出る。 「ここは」 「君が所属している前哨基地よ。カーウェイ・リンクス曹長」  声に反応して、ゆっくりと視界ユニットを起動させた。  目の前にくっきりと表れたのは、狭い空間に計器類を満載させたトレーラーの中だった。 「状況を説明してくれるか? えぇと」 「リーフェン技術中尉よ」  そういう彼女に視点を写した。  軍支給のつなぎを下だけ着込み、上半身はシャツ姿の金髪の女だった。最前線らしく、飾り気などあったものではなかった。 「中尉殿がわざわざ、俺なんかの修理に乗り出してくるなんてね。それでどうなっているんです」 「いいわ、リンクス曹長。端的に伝えて上げる。君のいた部隊は全滅よ。生存者は君だけ、受け入れ予定だった難民も皆殺しにあったわ。相手は、敵の最新式アンドロイド部隊。まさに実戦経験を積ませるためだけのテスト投入したみたいな状況だったわ」
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