回復(リペア)

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 淡々と紡がれる言葉に、俺は相棒が死んだことを理解した。  俺とは違い、生身でいることを貫いた相棒だった。俺が生身だった頃からの相棒だった。もう二年は一緒に戦場を点々としていた。 「私が自ら貴方のところに出向いているのは、そのアンドロイド部隊の情報がほしいからよ。悪いけど、君の視界情報はメモリーからコピーさせてもらったわ」 「……」  サイボーグとなり、身体のほとんどが機械化された俺は視界情報や思考内容を外部メモリーに保存している。プライバシーの問題など、このような場に存在などしない。俺の身体もほとんどが軍の備品と成り下がっていた。 「勝手にしてくれ……俺の次の処遇は?」  部隊は全滅、身体の修理が終われば、俺は何処にでも配属される可能性がある。今回の失態の責任に鉄砲玉にされることだって考えられる。 「さぁ、それは上の人間が考えること。私の任務は貴方の解析と修理だから」  そうかい……俺はそれだけ呟いて、再び意識を闇へと落としていった。
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