第1章

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カーテンを開けると部屋に朝日が差し込んだ。こんな天気のいい日は外出するのにちょうどいい。 布団から出て、洗面所へ向かう。髪を縛り、水で顔を濡らすとすぐに蛇口をひねって水を止めた。それから洗顔フォームを手にとって泡立てる。実家にいた頃はこの瞬間も水を出しっ放しにしていたが、一人暮らしを始めてから少しの水道代も浮かそうとするようになった。蛇口をまたひねって泡を流す。鏡で泡が流れたことを確認すると、蛇口をもう一度ひねった。 確かに私は蛇口をひねった。 手応えがなかった。水は止まっていない。どれだけ蛇口をくるくると回しても閉まった感覚がない。水は流れている。私の水道代も流れている。
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