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「!」
「!」
「!」
一気に部屋の中の空気が緊張し、春一の身体もガチンと硬直する。
聞こえてくるのは、スゥスゥという鈴音の健やかな寝息だけ。
「あの……、ちょっと鈴音? それは、どういう意味かな……」
春一は聞くが、その声はあまりにも弱々しすぎて、眠りにおちてしまった鈴音には届かない。
ただ、弟たちの耳にはしっかり聞こえていて、このままでは許さないという、禍々しい気配だけが春一の上に降りかかってくる。
春一は弱々しく、健やかに眠る鈴音に助け手を求め続ける。
「あのそれは、どういう意味なの、かな……」
来生家4兄弟にとって、生涯で一番長い夜がふけていった。
Fin
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