一幕 奇妙な命令

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それも無視をして五月は、自分の仕事へと戻った。 これから夕飯の仕度をするのだ。夕飯を目当てに村人が来る。それが「こづち」だった。 2 真田銀矢は腑に落ちない話にため息を吐くはがりだった。 座敷に居る白羽にどう思うかを訊ねると白羽は首を傾げる。 「白夜様の考えはわからないけれど、歴史的に重要な話であることは間違いない。もしかしたら、青葉との戦が始まるのかも知れないね。月影の乱が停戦してから十年になるわけだし、白夜様が痺れを切らしても不思議じゃない。それに今昔森に限らずあちこちで子供狩りが始まっているんだ。白夜様としてはその行為も早めに止めたいと思っているんだと思う」 子供狩りは孤児を集めて兵や忍として育てるために行われる。捕まえた孤児の生活を保証し戦に出せるように訓練するのだ。そうして軍人を強化し、軍隊を組んで新たな戦に備えているのが、青葉党の青葉深雪という女武士である。月影の乱が停戦とされたのは、青葉城の君主が女だったからという説もあるくらいだ。
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