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「小雪は俺が突き落とした。日乃目を追い詰めて殺したという。段々、俺もそんなふうに思えてきて彼女に関わることはしなくなった。そのことは白夜様も知っているだろう。それなのになぜ俺に預ける?」
「それは銀ちゃん。白夜様だからだよ」
白羽が片付けを終わらせて草鞋を履いた。
「白夜様、あと何日生きる気だ?」
「不謹慎なことを言わないでよ」
「不謹慎なことだけど現実だろ?」
「今日は僕、寺に帰るよ。なにかあったらキララを飛ばしてね」
「気を付けて帰るのだぞ」
信濃が白羽を見送った。
銀矢は起き上がり、座敷に登る。
真田銀矢は、茶店「こづち」の二階に住んでいる。両親も一族も戦に破れて死んだ。
白夜党に来たのは君主の白夜時雨に命を助けてもらったからに過ぎない。
白夜時雨に忠誠を誓うわけでもなかったが給料払いだけは良かったので、五月、白羽、信濃の三人と今昔森に住む孤児の保護をして生活している。
「小雪殿が日乃目の一件を納得するとは思えんな。白夜様はなにかのっぴきならない事情を知っておられるのだろうか?」
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