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魚に添えられた山菜も適量だ。これが格安定食として振る舞われる。
銀矢が店に戻ると信濃は居なかった。今昔森に見回りに行ったのだ。夕食はそのあと食べるのも日課であった。
「しかし、八十匹も良く捕れたな?」
「誰かがおがして(成長させて)川に放流したんでない?」
五月が訛りで返してくる。彼女は北の出身だ。時々、遊んでくる。
「そんな暇なことを誰が?」
「とりわけ、青葉の傘下に決まってるでねえが。毒入りかもしんねえな」
腹黒い笑みを浮かべた五月が魚をひとつ取り上げて裏庭に持っていく。
裏庭には臭いを嗅ぎ付けた猫と信濃が飼っている鷲のキララが居た。
五月が魚を皿ごと億と猫とキララが寄ってきて臭いを嗅いだ。しかし、それきり口をつけようともしない。
五月が予測した通り、魚を使った襲撃だったようだ。
「薬の開発が進み過ぎじゃないか?」
様子を見ていた銀矢は魚にどうやって毒を仕込んだかを想像したがどうもうまく想像できなかった。
「なんてことないわよ。魚を捌く包丁に毒が仕込まれていただけの話。私は魚に塩を降って焼くだけが仕事だからね」
五月はからからと笑って、せっかく盛り付けた魚を肥料穴へと持っていってしまった。
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